和歌山の中紀、由良というところに大引漁港という漁港があり、上野渡船という渡船屋さんがアシカという沖磯へ渡してくれる。
私たちは昨年(2016年)の同じ時期に上野渡船を利用して沖磯へと渡してもらい、初めてシイラを釣ったのだった。
その時釣ったシイラの釣り味が忘れられず、今年(2017年)も1泊2日の釣り合宿を中紀の沖磯でシイラを狙おうと決めたのだった。
2017年のシイラは小ぶりなサイズ(ぺんぺんと呼ぶ)が中心だが数は釣れているそうで、それなりに楽しめるだろうと思っていた。
あの台風が来るまでは・・・
釣果情報にシイラの文字がない・・
2017年の8月初旬にやってきた大型の台風が近畿を直撃した影響なのか、それ以来シイラがパッタリと釣れなくなってしまったのだ。
釣行日8/18を予定していたが、前日の釣果にシイラの文字はない。
正直行くかどうか迷ったが、仕事も休みを取り、すでに宿も押さえているので「行かない」という選択はない。
こうなったら沖磯に行く理由を探すしかない。
よくよく見れば、釣果情報にこうかいてあった。
「徐々に潮が良くなってきているのを感じる」
ほほう~
他にも何か良い情報はないかと、私に昨年のシイラ釣行を勧めてくれた私の釣りの師匠に相談すると、
「台風の水潮が黒潮と入れ替わってくれば、またシイラが釣れるようになる」
と言うではないか。
これはイケルるんちゃん!?
別方面からそれぞれ
「これから良くなる」
的なことを言われたら希望が湧いてくるというものだ。
もしかすると私たちが行く日からシイラの群れが入ってきて爆釣するかもしれない。
いや、きっとそうに違いない!
もはや想像は膨らむばかりだ。
釣り合宿に同行するヨシPとD君には釣れていない情報はあまり与えずに、潮が変わり始めているからバンバン釣れるやろ!
と希望を持たせておいた。
ヨシPとD君は
「イケルっしょ!釣れる気しかせえへん!」
とやる気満々だった。
上野渡船でのシイラ釣行1日目
上野渡船の1番船は5時だ。
4時半くらいに着いたが、車はあまり停まっていない。
釣れていたらもっと車が多いはずなので、やっぱりシイラは釣れていないのだろう。
さて、どの沖磯に渡してもらうかだ。
上野渡船から渡れる沖磯はいくつかある。
ヒジキ、ヒラバエ、アシカの親、アシカの子、オオクラなどである。
昨年渡してもらったのがオオクラで、初めてでもそこそこ釣れて、シイラのチェイスは毎回のようにあって非常にエキサイティングだった。
しかし今回はアシカの親に渡してもらおうと思っている。
なぜならいくつかある沖磯のうち、アシカが最も沖に面しているから、新しい魚が入ってくるとすれば沖にあるアシカから釣れ始めるだろうからだ。
5時になり、意気揚々と船に乗り込む私たち。
未だに3人とも釣れる気しかしていない。
もしかすると釣りの中で最も楽しいのは釣りに行く前なのかもしれない。
辺りはまだ薄明るいが、私たちの心はキラキラと輝いていた。
アシカの親で釣り開始
アシカの親とは沖の磯に灯台が立ててある小さな島だ。
15人も上がれば満員御礼になるだろう。
一緒にアシカの親に上がったのは4人組と1人、そして私たち3人だった。
ちなみにアシカの子には2人の餌釣り師が上がっていた。
アシカの子は親の島よりさらに小さな島で、4人くらいが限界ではなかろうか。
主にエサ釣り師に人気のようである。
タックルをセットし、ルアーを結ぶ。
シイラ釣りの定番はポッパーとペンシルベイト。
どちらも水面に浮くルアーで、シイラには好反応のルアーで実際に良く釣れる。
私のお気に入りはMARIAのポップクイーンだ。
追い風に乗せてぶん投げると本当によく飛ぶ。
着水したらロッドをあおり、ポップ音と水しぶきをを発生させながら何度もロッドをあおるのがシイラポッパーの使い方だ。
バス釣りなのでは食わせる間を与えるために、ポーズを長く取ったりするが、シイラにはポーズはそれほど必要ないと考えている。
長くポーズを入れると魚に見切られてしまうのだ。
むしろルアーを追いかけてくる魚から逃げ切るくらい早くリールを巻くほうが魚も必死になり、終いには食いつくと思う。
と、釣りの上手い人が言っていた。
自分が追われているのに立ち止まる子魚はいない。
ゆえにポーズは必要ない。
と、言われて
「なるほど!」
と思って私は大いに納得した。
このように完全に釣るイメージはできあがっている中で何度も繰り返しキャストするが、一向に魚の気配がない。
アタリもなければチェイスもない。
嫌なムードになりかけたその時、D君のルアーに何かがヒットした。
レッドヘッドのミノーで釣れた魚はイサギだった。
しかもけっこう大きなイサギだ。
これは気合が入る。
シイラが釣れなけりゃイサギでもなんでも良い。
とにかく何か釣りたいのだ。
ルアーにガツンというアタリが欲しいのである。
しかしルアーを変え、ジグの重さを変え、色を変え、しまいには子イカにエギを投げ、何度キャストしても魚は釣れなかった。
さらに追い打ちをかけるように雨が降り出し、私たちはアシカの沖磯で背中からの横風と大雨に打たれることになった。
もう釣りは不可能だ。
この日はこれにて強制終了である。
釣り合宿の初日、午前の部は気合とはうらはらに完全ボーズを食らってしまった。
身体はずぶ濡れ。
心もずぶ濡れ。
散々な目にあった私たちはまだ午前中だというのに上野渡船の待合所で途方にくれるのだった。
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